電話予約
Web予約

 

Q:遺産(相続財産)とは何ですか?

A:遺産とは、亡くなった方(被相続人)が、死亡時点で持っていた、相続の対象となる全ての財産のことを言います。相続する人(相続人)から見て、遺産のことを「相続財産」とも言いますが、同じ意味なので、余りこだわらなくても大丈夫です。

相続の対象になる全ての財産ですから、預貯金や現金、土地、建物や預貯金などのプラスの財産はもちろん、借金、住宅ローン、保証債務などのマイナスの財産も含まれるのが原則です。

ですから、相続によって、思いがけず多額の借金や負債を背負わされてしまうことがないよう、亡くなった方が、生前、借金をしていたり、他人の保証人になっていた恐れがある場合には、亡くなった方宛に、金融業者からの督促の電話や、請求書・督促状等が来ていないか等、故人に対する電話や郵便物を良く確認することはもちろん、生前関係のあった金融機関や取引先に連絡をする等して、財産状況を良く調査した上で、相続をするべきです。

この調査をきちんとせずに、軽々しく故人の遺産を使ったり、処分したりすると、借金も含めて相続をすることを認めたことになってしまい、後から相続をなかったことにすることはできません。

例えば、預貯金だけでなく、借金もあったお父さんが亡くなった後、息子である相続人が自分の生活費にあてるため、銀行からお父さんの預金を10万円引き出して使ってしまうと、お父さんの借金を含めて相続を認めたことになります(法定単純承認:民法921条)。

この場合、相続人は、お父さんから相続した借金を返済しなければなりません。それが無理な場合、最悪、相続人が自己破産を検討しなければならなくなる場合もありますので注意が必要です。

ですから、故人が借金をしていた可能性がある場合には、遺産には一切手を触れないで、しっかりと財産状況を調査することが大切です。

財産状況を自分で調査することが難しいという方は、相続の専門家である弁護士へご相談されることをお勧めします。ある程度の費用は掛かりますが、財産の調査をしてくれた上で、もし、マイナスの財産があった場合には、相続放棄限定承認など、マイナスの財産を相続するのを免れる手続きを説明してくれるだけでなく、必要に応じて、手続きの代行まで全てしてくれるので安心です。

Q:遺産の調査の方法を教えて下さい

A:主な遺産の調査方法は以下の通りです。

①預貯金
被相続人(亡くなった方)の預貯金がどの銀行にいくらあるかについて、当該銀行に照会して確認します。

②不動産
㋐不動産の全部事項証明書(いわゆる登記簿謄本)を最寄りの法務局から取り寄せる、㋑土地家屋台帳や固定資産課税台帳を、不動産の所在地である市区町村から取り寄せるなどして被相続人所有の不動産を確認します。

③株式・有価証券等
㋐株式についてはこれを発行している株式会社に、㋑国債等、有価証券は証券会社等に、㋒投資信託については投資信託運用会社に照会して確認します。

④生命保険
保険証券が手元にない場合は保険会社に照会して確認します。もっとも、生命保険等については、受取人が特定の相続人に指定されている場合(例えば、相続人にAとBがいる場合に、受取人が「A」と指定されていたような場合)には、保険金は、原則として、受取人として指定された特定の相続人の財産となりますので、他の相続人が分与を求めることはできません。

⑤自動車などの動産
車・バイク等、登録が必要な動産については、車検証などで被相続人の所有権を確認します。

⑥負債
被相続人が生前、借金や住宅ローンなどの負債を負っていた場合、相続放棄や限定承認をしなければ、相続人がこれらの負債を払わなければならなくなります。被相続人の借金等を生前から把握できていれば良いですが、そうでない場合には、請求書や督促状などの郵便物、遺品整理によって見つかった契約書の存在などを手がかりに、調査を進めることになります。

Q:遺産の金銭評価の方法を教えて下さい

A:金銭や預貯金は、金額そのままを足し算すればよいですが、不動産や株式は、下記のような方法で金銭に直すと具体的にいくらになるのか(金銭評価)を判断します。

①不動産
実際に市場で取引される場合の価格である市場価格で評価するのが一般的です。そこで、通常は、まず不動産業者等に査定を依頼することになります。しかし、不動産業者の査定価格に納得しない相続人がいる場合などは、最終的に裁判所に鑑定を依頼する必要も出てきますが、この場合、別途、数十万円程度の鑑定費用がかかることになります。

②株式
上場株式の場合は、取引相場が公開されているので、時価による評価が可能です。しかし、非上場の株式の場合は、純資産方式、収益還元方式、相続税申告時の評価額等を用いて評価せざるを得ません。いずれの方法によるにせよ、評価額に納得しない相続人がいる場合には、最終的に裁判所に鑑定を依頼する必要も出てきますが、この場合、別途、数十万円程度の鑑定費用がかかることになるのは、不動産の場合と同様です。

Q:先祖の墓や仏壇はどうなりますか?

A:墓や仏壇は、祭祀財産と呼ばれ、遺産には含まれず、相続の対象となりません(民法897条)。これは、明治時代の民法に存在した「家督相続」の名残りと言われています。したがって、通常の相続財産のように、相続人の間で、法定相続分(相続割合)に従って分けるということにはならないのです。

では、墓や仏壇は、誰が引き継ぐのかというと、法律は「祖先の祭祀を主宰すべき者」(祭祀主宰者)が引き継ぐと規定しています(民法897条1項)。

次に、「祖先の祭祀を主宰すべき者」は、どうやって決まるかというと、

⑴亡くなった方が生前に指定していたか、遺言で指定していた場合には、これにより指定された方に決まります。

⑵亡くなった方が指定していない場合には、慣習や、関係する当事者の協議によって、誰が引き継ぐかを決めることになります。

⑶それでも決まらない場合には、家庭裁判所が審判で決めることになります。

それぞれの家族の事情によって、異なりますが、一般的には、長男が引き継ぐ事例が多くみられます。

Q:生命保険金は遺産に含まれますか?

A:生命保険金が遺産になるかどうか(遺産に含まれれば、相続の対象となることから、相続人が相続できますが、遺産に含まれなければ、相続人が相続できないことになりますので、このような議論が出てきます)は、保険金の受取人が誰になっていたかによって決まります。

①保険金の受取人が亡くなった方(被相続人)自身だった場合、生命保険金は遺産となりますので、相続の対象となります。
→相続人が相続することができます。

例えば、妻YがいるXが、X自身を受取人にして生命保険に入っており、死亡した場合、生命保険金は、Xの遺産になりますので、妻Yはこれを相続することができるということです。

②保険金の受取人が亡くなった方以外の方だった場合、生命保険金はその受取人のものとなり、遺産にはならないのが原則です(最高裁判例:平成14年11月5日)。
→原則として相続人が相続することは出来ません。

例えば、妻Yがありながら、Aと不倫をしていたXが、生命保険金の受取人を「A」にして死亡した場合、この生命保険金はAのものになり、Xの遺産に含まれませんので、妻Yはこの生命保険金を相続することはできないことになります。

Q:死亡退職金は遺産に含まれますか?

A:死亡退職金は、通常は、会社の就業規則、給与・退職金支給規定などによって、誰に支給されるかが決まっていますので、遺産に含まれません。一般的な会社では、まず配偶者、配偶者がいなければ子供、子供もいなければ両親、という順番で決まっていることが多いです。

例えば、Xに妻Yと子供Aがいた場合に、Xが死亡し、会社の支給規定によって、妻Yに死亡退職金が支払われた場合、この死亡退職金は全額Yのものになり、Xの遺産に含まれませんので、子供Aは、死亡退職金について1円ももらうことはできないということです。

«相 続 人相続放棄»

PAGE TOP